カネに縁ナシ樋口一葉、
なぜかお札の顔になる
〜樋口一葉その2〜

前回は一葉さんのビンボー話を聞いてたら長くなっちゃいました。
それでは続きをどうぞ。
りょうこ
まったく、ノーギャラでこんなに引っぱりやがって・・・・・・
いい加減にしてほしいね、まったく。
樋口一葉
まあまあ、ところで前回聞いたのは、
樋口一家が破産して夜逃げして、兄ちゃんとオヤジさんが死んで、
婚約者に逃げられた所までですが、
その後どこで一家心中したんですか?
りょうこ
一家心中なんかしてねえ、っつうの!
こんな状態だったけどな、オフクロとアタシと妹は、
なんとか働いて細々と生活してたんだって。
樋口一葉
へこたれてませんね。
りょうこ
あたぼうよ。
でもな、こんな生活じゃ
いつまでたってもビンボーから抜け出せない・・・
そこでアタシは、昔の勉強仲間に声かけて、
「何とかならないもんかね」
とグチを聞いてもらってたんだ。
樋口一葉
そりゃグチを聞かされるほうもたまったモンじゃありませんね。
同情しますよ。
りょうこ
同情するならカネをくれ!
樋口一葉
またそのセリフですか。
もうアキちゃった。
りょうこ
仕方ねえだろ、口ぐせなんだから。
ところでそんなある日にな、この勉強仲間の紹介で、
ある一人の男の人と知り合うことができたのさ。
樋口一葉
おっ、新キャラ登場ですね。
りょうこ
登場するならカネをくれ!って、そうじゃないか(笑)。
この男の人の名は「半井桃水(なからいとうすい)」と言って、
朝日新聞の記者だったんだ。
樋口一葉
婚約解消後にできた新しいオ・ト・コですね!?
新聞記者のカレなんて、カッコイー!!
りょうこ
ばばばかやろう!
かかか「カレ」なんかじゃねーや!
かかカン違いすんな!
樋口一葉
「カレ」じゃないの?
その割には動揺してるよ、一葉さん。
カレじゃなくても、ホントは桃水さんのこと好きなんでしょ。ズボシ?
りょうこ
ううううるさい!
は話を戻すぜ!
ああのな、この桃水さんにな、
小説を発表してそれでカネをかせいだら?
みたいなこと言われてな、
それでアタシは小説家になることを決心したのさ。
樋口一葉
あっ!やっと小説の話がでてきましたね。
それにしてもいきなり小説家ですか?
決断が早すぎるなー・・・・・・ひょっとして、
その新聞記者のカレがそう言ったから決断したんじゃないでしょうね?
りょうこ
ばばばか言ってんじゃねーよ!
しょしょ小説はずっと書きたいと思ってたんだ、アタシゃ。
ただきっかけがなかっただけなのさ。
樋口一葉
本当かなー?
だって小説の話、いきなり出てきたもんねー、あやしい・・・
りょうこ
いいいいいいから、話を元に戻すぞ!!
ととにかくな、それがアタシが19歳の時の話さ。
んで翌年、アタシは小説家としてデビューしたんだよ。
樋口一葉
そうですか、何はともあれ、やりましたねぇ!
これでこっから先は、
小説家・樋口一葉の華々しい活躍が聞ける、ということですね!
りょうこ
う〜ん、それがなー、華々しい、っつうかなー、何つうか・・・・・・
ま、確かにちょっとずつ小説を発表していったから、
「小説家」としてはちったあ名前は売れていったわな。
でもな、その小説を発表したのがほとんど同人誌だったんで、
アタシの名前は「知る人ぞ知る」程度のモンだったのさ。
樋口一葉
つまり「マニア」にしか名が知られてない、みたいな?
時々地方のライブハウスに出演するストリートミュージシャン、
みたいな?
りょうこ
意味がよくわかんねえたとえだけど、まあそういうことかな。
小説書いてる、ったって、ビンボーは相変わらずってわけさ。
樋口一葉
結局まだまだビンボー話は続くんですね。
りょうこ
そう。だからちっとだけ貯まったカネで
妹と駄菓子屋を開いたんだけど、
こいつもどうも、売り上げがパッとしねえんだな、これが。
樋口一葉
駄菓子屋ですか・・・・・・
それじゃ確かに「もうかる」ってほどの商売じゃないでしょうね。
りょうこ
おうよ。商売っつうのも難しいもんだね。
そんなこんなしたけど、結局はカネが足らなくて、
知り合いから借金をしてなんとか食いつないでいたありさまよ。
さっき出た半井桃水さんにまで
恥をしのんでカネを借りたくらいだからな。
樋口一葉
そこまでビンボーが続くなんて異常ですね。
ひょっとしてビンボー神がとりついているんじゃないですか?
りょうこ
そう思うか?
そうだよな・・・・・・アタシもそう思ったんで、占い師の所に行って、
ビンボー神がとりついていないかどうか占ってもらったのさ。
樋口一葉
占いの先生、何て言ったんですか?
やっぱビンボー神がついてるって?
りょうこ
ビンボー神がついてるとは言わなかったけどな、
この占い師は、このアタシに向かって何て言ったと思う?なんと、
月15円払うから、俺の愛人になれ。
そうすれば運が向いてくるぞ」
とかぬかしやがったんだ!コイツが!!
樋口一葉
うわっ!とんでもない事いいますね、そのインチキ占い師。
月15円だなんて、なめてますよね。
せめて月100万円くらいもらわなきゃ・・・・・・
りょうこ
そんな金額の問題じゃないだろ!
アンタもこのアタシをなめてるね!
樋口一葉
まま、単なるボケですから気にしないでください。
それにしても一葉さん、
ビンボー人だということで
そんなインチキ占い師にもバカにされちゃったんですね。
同情します・・・・・・・
りょうこ
だから同情するならカネをくれ!って!マジで・・・・・
もうこうなったらこのアタシも開き直ったね。
いっそのことアタシみたいなビンボー人とか
弱い庶民のことを小説にしちゃえ、
てんで、その後に書いた小説に、
そんなビンボー人やら庶民やら子供やらを登場させてみた
のさ。
そしたらこれがウケたウケた。
樋口一葉
ウケたんですか。よかったですね。
りょうこ
人間何が幸いするかわからないもんだね。
この「インチキ占い師事件」をキッカケに
開き直って小説を書くようになったら、
なんだか楽〜に筆が進むようになったのさ。
それで次々と小説のアイデアも浮かんだ。
何しろビンボー人の話なら「ネタ」にことかかないからね(笑)。
樋口一葉
そりゃそうでしょう。
一葉さんはビンボーの隅から隅まで知り尽くした、
カリスマビンボー師ですからね(笑)。
りょうこ
おいおい、そりゃホメてんのかバカにしてんのか
意味が全然わからねえぞ。
樋口一葉
もちろんホメてるんですよ。
ところでウケたウケた、っていうけど、
何ていう小説を書いたんですか?
りょうこ
代表的なのは「たけくらべ」だな。
樋口一葉
ああ、あっちこっちでおいしいものを食べてみるグルメ本ですね
りょうこ
そりゃ「食べくらべ」だっ!!
たけくらべ」!
樋口一葉
どんな内容なんですか?
りょうこ
一言で言うと、少年と少女の初恋物語だな。
でもお互いビンボーゆえに、
「好きだ」と告る(告白する)こともできずに別れてしまう・・・・・・
ま、ほんとはこんな単純でなく、もっと面白い話なんで、
興味のある人は本屋で買って読んでくれ。
いいか、「たけくらべ」(樋口一葉)だぞ、
ちゃんとカネ持って本屋行けよ!
今なら「たけくらべ」に「にごりえ」がついてる方がお得だぞ!
樋口一葉
しっかり宣伝してますね(笑)。
みんなが本を買ってくれれば
一葉さんにもおカネががっぽり入りますもんね。
りょうこ
それがな、「たけくらべ」とか「にごりえ」とかの名作を書いてまもなく、
アタシゃ病気(結核)にかかって死んでしまったのさ。
だから生きている間はおカネなんか入ってこなかった・・・・・・
享年24歳・・・まだ小説も書きたかったし、
恋もしたかったんだけどね。
結局アタシは生きている間、
ずーっとビンボー生活から抜けられなかったんだ。
笑っちゃうね、はっはっは。
樋口一葉
ビンボーに産まれ、ビンボーに生き、
ビンボーに死んだ樋口一葉さん・・・・・・
でも平成の時代になって
一葉さんの顔が、おカネに印刷されるんですよ。
五千円札の顔になるんです。
りょうこ
なんだって!?
アタシの顔がカネに!?う〜ん、複雑な気分だねぇ。
アタシゃこの世で一番カネに縁がない人間だったからねェ・・・・・・
みんな、アタシの顔のお札を粗末につかうんじゃないよ。
カネは大切だからね。無駄遣いしないように!!
樋口一葉
うまいオチをつけてくれてありがとうございます。
さて、長かったインタビューもこの辺でもう終わりにしましょう。
今日のゲストは樋口一葉さんでした。ありがとうございました(拍手)
^(ノ゜ー゜)ノ☆パチパチ☆ヾ(゜ー゜ヾ)^
さて、お帰りはこちらです。
どうぞ・・・・・
りょうこ
「どうぞ」するならカネをくれ!
・・・・・・って、こりゃ余計なオチだったかな?はっはっは。
樋口一葉

ひのもとあや先生の一口寸評

樋口一葉さんは死ぬ直前にやっとその才能を認められました。
認めたのは当時の小説界のおエライさん、森鴎外・幸田露伴・斉藤緑雨たちです。
でもその作品が一般に読まれるようになったのは、
さらにもうちょっとあとです。
まさに「ビンボー暇なし」を実践するように、
24年の生涯を急ぎ足で駆け抜けた樋口一葉さん。
新五千円札発行を機会に、
みなさんも一葉さんの作品を読んでみたらいかがでしょうか?

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