我輩は漱石である〜夏目漱石その2〜


前回は漱石さんが妻子を日本におきざりにして、
ロンドンに逃避行してしまった
ところまででしたね。
今回はその続きをいきま〜す。
りょうこ
「おきざりにして逃避行」したなんて誰も言ってない(もん)!
我輩は政府の命令でやむをえずロンドンに行人になったんである。
夏目漱石
ま、そんな細かいことどっちだっていいじゃない。
それより漱石さん、
ロンドンで何したんですか?
りょうこ
イギリスの研究である。
当時日英同盟が結ばれていたためその関係で、
英語のできる我輩が行人になった、というわけである。
夏目漱石
ふ〜ん、
で、研究はちゃんとできたんですか?
りょうこ
それが留学費不足のため、
我輩はこころ明暗ぼっちゃんと落ちてしまい、
ついには神経衰弱におちいってしまったのである。
夏目漱石
前回、鏡子さんも神経衰弱から自殺未遂したんですよね。
漱石さんにうつっちゃったんですかね。
りょうこ
細君だけでなく、
我輩も前回神経衰弱になっていたんである。
(前回「心を落ち着かせようと鎌倉円覚寺で座禅をして、
逆に神経衰弱になってしまったり・・・」と発言している。
忘れた人は要確認)

だから我輩の神経衰弱は、持病と言っていい。
夏目漱石
そうなんですか。
夫婦して神経衰弱だなんて、
まるでトランプゲームみたいですね。
りょうこ
我輩、その意味を思い出す事などできない・・・
わからない・・・・・・
夏目漱石
わからなくてもいいですって。
でも病気じゃ困りますね〜、
ロンドン留学はどうなっちゃうんですか?
りょうこ
まあ、一応三年弱ほど研究して日本に帰ってきたんであるが、
帰国してからも我輩の神経衰弱はなおらなかった。
我輩はこころ明暗ぼっちゃんと落ちてしまい・・・
夏目漱石
もうそれはいいですってば!!
でも神経衰弱のままで、仕事はどうしてたんですか?
りょうこ
一応ロンドン留学の経験をいかして、
東大で英語を教えていたんである。
夏目漱石
ふ〜ん、仕事はちゃんとやってたんですね。
りょうこ
で、ある日、
我輩の家に黒猫がやってきて、
我輩の目の前を横切ったんである!!
夏目漱石
うわ、不吉!!
何か悪いことがおこったんですか?
神経衰弱が悪化して、入院しちゃったとか?
りょうこ
いやいや、むしろこの黒猫が、
我輩に幸福をもたらしてくれたんである。
夏目漱石
え?そうなんですか?
どういうこと?
りょうこ
高浜虚子という男が、
「気晴らしのために何か小説を書いてみませんか?」
と言ってくれてたんであるが、
我輩、その小説の主人公に、この黒猫を選んだんである。
夏目漱石
猫が主人公の小説?
タマは言った「ニャニャニャーニャ」
チビはそれに答えて「ニャニャ、ニャーニャニャニャ?」
と聞いた。
そこへやってきたミケが「ニャニャ!!ニャン!!」

・・・・・・・・・・・・・・・ってな感じ?
りょうこ
んな意味わからん小説読めるかっ!!である。
猫が主人公と言っても、登場人物はほとんど人間である。
猫の目から見た人間の様子を、
猫がいろいろと観察してひとりごとを言う、
というような内容である。
タイトルは「我輩は猫である」である。
夏目漱石
あっ、聞いたことある!
そのタイトル。
じゃあその「我輩は猫であるである」が、
漱石さんに幸福をもたらしたんですね?
りょうこ
「である」が一つ多いぞ!!である。
まあ、そういうことだ。
このデビュー小説がヒットしたおかげで、
我輩は小説家として有名になれたわけであるからな。
夏目漱石
神経衰弱もなおっちゃったんですか?
りょうこ
いや、そっちはなおるところまではいかなかった。
でも、ずいぶん軽くはなったんである。
夏目漱石
よかったじゃないですか。
じゃあその後、
バンバン小説を書くんですね?
りょうこ
バンバンとはいかないがな、
坊っちゃん」「草枕」「二百十日」なんてのをこの頃書いて、
これもまたヒットしたんである。
夏目漱石
やった!
よっ!売れっ子作家!!
日本のJ・K・ローリング!!
りょうこ
J・K・ローリングが「ハリポタ」で有名になったのなら、
我輩は「タナボタ」で有名になったようなものである。
夏目漱石
黒猫が目の前を横切ってくれなかったら、
こんなに有名になれなかったかもしれないもんね。
りょうこ
である。
で、それからその後我輩は作家活動に力をいれるため、
朝日新聞に入社したんである。
夏目漱石
なるほど。東大で先生やってるより、
新聞社の方が小説を書きやすそうだもんね。
ああ、そうそう、奥さんの鏡子さんとはその後どうなったの?
りょうこ
二人の男の子と五人の女の子ができて
それなりに幸せにくらしていたんである。
夏目漱石
「それなり」ってどういうこと?
りょうこ
我輩もまだ、
完全に神経衰弱がなおっていたわけではないんである。
だからちょっと気に入らないことがあったりすると、
細君(鏡子)をどなったり、
子供をたたいたりしてしまっていた
んである。
夏目漱石
うわ!
それって平成の今問題になっている、
DV(ドメスティックバイオレンス)じゃないですか!?
りょうこ
我輩、時代を先取りしていたんであるな。
エヘン、エヘン。
夏目漱石
そんなの自慢してどーーーするんですか!?
家族がかわいそうでしょ!!!
りょうこ
でも我輩、
子供とカルタをしてわざと負けてあげたりと、
結構親バカな面もあるんである。
夏目漱石
まあ、結局そういう二重人格的なところがあるから、
神経衰弱なんでしょうね。
りょうこ
である。
で、この頃書いたのが、
三四郎」「それから」「」の大傑作三部作である。
夏目漱石
自分で「大傑作」付けちゃうくらいの名作が、
神経衰弱の時に書かれてるんですね。
りょうこ
そういうことである。
しかし我輩、この頃神経衰弱でなくて、
今度は胃潰瘍で入院してしまったのである。
夏目漱石
ありゃま、大変。
りょうこ
我輩この時死ぬ寸前の彼岸過迄逝ってしまうところであったが、
草枕で、夢十夜行人しておるうちに、
なんとか明暗から抜け出せたのである。
夏目漱石
何言ってるんだか意味が全然わかんないけど、
要するに死なずに助かった、ってことでしょ?
りょうこ
である。
夏目漱石
それは笑っていいとも!でしたね。
もし漱石さんまのからくりテレビが亡くなってたら、
鏡子サザエさん世界ウルルン滞在記だったけど、
助かったんで笑点ですね。
本当に鉄腕DASH!のおかげで、
その時歴史がうごいたというわけであるある大辞典
りょうこ
日本語話せ!!
何言ってるか全然わからん!!である!!!!
夏目漱石
漱石さんのマネしただけですよ。
りょうこ
マネになってないである・・・・・・・・・
我輩はこころ明暗ぼっちゃんと落ちてしまう・・・
夏目漱石
まあそれはいいとして、
胃潰瘍が回復したあと、どうしたんですか?
りょうこ
彼岸過迄」「行人」「こころ」「道草
などを書いた。
これらもまた大傑作である。
夏目漱石
大傑作ばかり書いてるんですね。
りょうこ
我輩は文豪であるから、当たり前である。
夏目漱石
でも私、本読まないヒトだから、
大傑作といっても、
全然読んだことないタイトルばっかりなんですけど。
りょうこ
読め!!!である。
夏目漱石
脅迫されると読む気がなくなっちゃうんですけど。
りょうこ
脅迫されなくても読む気ないくせに、である。
夏目漱石
そりゃそうですけど・・・・・
じゃあ今度、簡単そうな「クレヨン坊っちゃん」から読みます。
りょうこ
「クレヨン」はつかない!!である。
ただの「坊っちゃん」!!
夏目漱石
よく気が付きましたね。
それよりそろそろ漱石さんが死ぬ話に持っていきたいんですけど・・・
りょうこ
虞美人草、我輩が死ぬのを待っておるんであるか?
夏目漱石
そういうわけじゃないですけど、
千円札の夏目漱石さんも消えることだし、
そろそろ死んでもいいんじゃないかと・・・
りょうこ
そういうことを言われると、
我輩悲しくて、こころ明暗ぼっちゃんと落ちてしまう・・・
夏目漱石
落ちてるヒマないですから死ぬ話にいってください。
りょうこ
しかたない、ではいこうか。
我輩、「明暗」という小説を書いておったんであるが、
その時にまた胃潰瘍になってしまい、
そのまま死んでしまった
んである。
夏目漱石
あっけないですね。
いつ、何歳で亡くなったんですか?
りょうこ
1916年(大正五年)
我輩は49歳彼岸過迄逝ってしまったんである。
夏目漱石
合掌。
ついでに古い千円札にも合掌。
りょうこ
我輩のこころ硝子戸の中道草をくっておるようで、
非常にさびしいぞう・・・さんしいぞう・・・さんしろう(三四郎)!!
夏目漱石
それではなくなってゆく漱石さんに。
夏目そうせき・・・そうしき・・・葬式・・・夏目葬式!!
りょうこ
オチがついたところで、
それでは我輩はこれでサヨナラである。
千円札からもサヨナラである。
夏目漱石
ハイ、サヨナラ!!
あ、いらっしゃい、野口英世さん!!!
りょうこ
まだ早いって!!!
夏目漱石

ひのもとあや先生の一口寸評

漱石さんは、神経衰弱に悩まされながらも、
いくつも傑作を書いています。
明治〜大正にかけて書かれたその小説は、
今でも原文のまま読めるほどで、
古さをまったく感じさせません。
漱石さんがお札から去ってしまうこの機会に、
いくつか読んでみたらどうでしょうか。

ちなみに漱石さんの長男(純一)の子供が「房之介」、
あのイラスト描いたりマンガ評論したりしている夏目房之介さんです。
そして対談中に出てくる長女の筆子の娘(末利子)と結婚したのが、
作家の半藤一利さんです。
同じような世界で漱石さんの子孫が活躍しているというのは、
面白いですね。

夏目漱石の主な著作
我輩は猫である
坊っちゃん
草枕
二百十日
虞美人草
夢十夜
三四郎
それから

思い出す事など
彼岸過迄
行人
こころ
硝子戸の中
道草
明暗(未完)

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