エラい人だけどけっこう自己チュー?
〜野口英世〜


今日はこれからチョー有名人になる人に来てもらいました。
野口英世さん!!
りょうこ
よろしぐお願いしっぺない。
ところでオラ、なしてチョー有名になるんだぁ〜か?
野口英世
千円札になるんですよ。野口さんが。
本人なのに知らないんですか?
りょうこ
千円札っつったら、千円のことじゃねぇがぁ!?
一生遊んで暮らせる大金じゃねえだぁか!?
そらはぁおったまげた!!
野口英世
そりゃ野口さんの時代は大金かもしれないけど、
今の時代、千円じゃおしゃれな靴一つも買えませんって。
りょうこ
オラのお札は、靴以下がい!!
も一度、そらはぁおったまげた!!
野口英世
ま、それはともかく、
野口さんのことを聞かせてくださいよ。
どこの出身で、どんな子供だったんですか?
りょうこ
オラか?オラは、福島の生まれで、清作っつう名前だっただぁ。
父親は酒好きで仕事ギライだったんで、
ほとんど母親のシカと姉のイヌが育ててくれたんだっけした。
野口英世
シカとイヌとオオカミに育てられた?
りょうこ
オオカミは余計だっぺ〜〜。
野口英世
ゴメンナサイ。
続きをどーーーぞ。
りょうこ
んでな、オラが(数え)三歳ん時、
ちょろちょろしていろりに落ちて左手をやけどしちまっただ。
野口英世
ありゃ。
りょうこ
このやけどのせいで、
オラ、左手がにぎりこぶしになって開かなくなっちまったっけした。
生活は不自由だし、家の畑仕事はできねし・・・・・・
まいっちまっただ。
野口英世
たいへんでしたね。
りょうこ
で、畑仕事できねんじゃ、ひまつぶしに勉強でもすべか、
つうんで、一所懸命勉強しただ。
野口英世
勉強?
りょうこ
そう、勉強。
このひまつぶしに始めた勉強な、
これが面白くて面白くて、
オラ、ひまつぶすひまもねえほど勉強しちまったけよ。
野口英世
?なんか日本語おかしくない?
りょうこ
まままま。
んで、このめちゃくちゃな勉強ぶりが、
小林栄っつう人の目にとまってよ、
オラ、この人のすすめで進学してさらにめちゃくちゃ勉強したっけ。
そしてこの頃オラ、
渡辺鼎(かなえ)っつう医者に左手手術してもらって、
なんとか、やけどした左手の指が動くようにしてもらっただ。
野口英世
あれ、そうなんですか。
よかったですね。
りょうこ
ありがどがす。
そんで感激してオラ、その後、
その渡辺先生に学校卒業後そのまま弟子入りしちまって、
医者さなるため、さらにさらに勉強することにしたんだっけした。
野口英世
ひまつぶしの勉強が、
医者をめざすための勉強になっていったわけですね。
りょうこ
んだ。
で、とにかくやたらめったら勉強してたら、
たまたまこの渡辺医院に、
東京から血脇(ちわき)守之助つう人が来て、
「東京で勉強すんなら、オラんとこさ来い」
て言ってくれたんで、オラ、血わき肉踊る気持ちで、
「東京さ行ぎてえ」と、おかあに相談しただ。
野口英世
・・・・・・ダジャレの勉強はもう少ししたほうがいいかも。
りょうこ
したっけ、おかあな、「気にせず行って来い」
て言ってくれたっけした。
だからオラ、
志を得ざれば再びこの地を踏まず
(自分の目標が達成できなかったら故郷には絶対帰らない)
っつう書き置きを、福島の家の柱に刻んで出て行っただ。
野口英世
いよいよ上京したわけですね。
りょうこ
んだ。
で、オラ、東京さ出てまたまた全力投球で勉強しただぁ〜ね。
そして医師開業試験に合格!!
野口英世
やったね!!
りょうこ
合格後すぐ順天堂病院に就職が決まり、
オラの人生の天気、順天どう!!てとこだっけした。
野口英世
だからダジャレの勉強はもう少ししたほうがいいですって。
りょうこ
ダレジャを言うのはダジャレ?
あ、反対ダジャ。
んなことよりオラ、医者さなったことはなったけどもよ、
どうもピンとこねんだぁ〜ね。
野口英世
どういうことですか?
りょうこ
医者ってのはつまんね!!
野口英世
つまんね、って言ったって・・・
自分で選んだ道でしょ?
りょうこ
つまんねもんはつまんね!!
つうわけでオラ、よ〜〜く考えたら、
医者さなった、っつう結果より、
勉強さしてる時間のほうが自分にとって大切だったし、
面白かった、つうことに気づいたんだっけした。
野口英世
今さらそんなこと気づいたって・・・
りょうこ
だからオラ、順天堂病院をやめて、
北里柴三郎の伝染病研究所に移っただ。
ここなら勉強さ、あきるまでできっからなぁ〜。
野口英世
勉強したいという理由だけで研究所に移ったんですか。
りょうこ
んだ。
もう医者なんぞどっちでもいいだぁ〜ね。
勉強が大切!!
野口英世
まあ、好きにしてください。
りょうこ
んでもな、
北里研究所で勉強できるようになったんはいいんだけどもよ、
ここの連中は東京大学出ばっかいて、
オラみてえな学歴のない人間さバカにすんだぁ。
そんでオラ、面白くなくてよ、
毎晩酒と女遊びばっかしてカネを使いまくって、
東京大学出にはできねような夜の勉強した
んだっけした。
野口英世
夜の勉強までしてどーーすんの!!
りょうこ
勉強に夜と昼の区別なし!!
どっちの勉強も面白くて、やめられねんだぁ〜ね。
野口英世
なんか「偉人野口さん」のイメージと、
「夜の勉強好きの野口さん」のイメージにギャップがありますね。
りょうこ
「偉人野口」て、そりゃアンタらが勝手に作ったイメージだっけした。
オラに言わせれば、「偉人」つうより「異星人」野口清作、
っつうイメージのほうがしっくりくるだぁ〜ね。
野口英世
「異星人」って・・・
よくわかんねーーイメージ!!
りょうこ
「イセージン」のイメージ・・・これが言いたかったんさぁ!!
そだそだ、イメージで思い出したけんどよ、
この頃売れてた小説で、
当世書生気質」(坪内逍遥・著)っつうんがあって、その小説に、
「野々口精作」っつう酒と女好きの借金大王が出てくるんさ。
野口英世
「野々口精作」?野口清作・・・・・酒と女好きで借金大王・・・
なんか野口さんと似てますね。
野口さんがモデルですか?
りょうこ
ばかこくでねえ!!
モデルでねえけんど、あまりにもオラと似てるんでな、
これじゃオラの「イセージン」のイメージとかけ離れてるべ?
だからオラ、気分悪いんで、改名することにしたんさ。
・・・・・・で、この頃、
「清作」を「英世」っつう名前に変えたっけした。
野口英世
あっ、「野口英世」ってこの頃つけた名前なんですか。
りょうこ
んだ。
でなこの「英世」っつう名前に改名したおかげかどうか知んねけど、
この頃オラの人生に転機がおとずれただ。
野口英世
どんな転機ですか?
りょうこ
北里研究所にアメリカ人の学者が来た里研究所。
野口英世
つまらないオヤジギャグはさまなくてもいいですって。
りょうこ
来たんはフレキスナーっつう病理学者でな、
オラ、このフレキスナー先生に、
「オラがアメリカに行った時は、面倒みてくんろ」とお願いしただ。
したらこのフレキスナー先生、
「OK。アメリカに来ても心配スナー」って言ってくれたっけした。
野口英世
その言い方、ウソっぽ〜い。
りょうこ
でな、オラ北里研究所をさっさとやめて、
アメリカに渡ることにしたんさ。
野口英世
「さっさとやめて」って・・・
偉人のイメージどんどん崩れますね、野口さん。
りょうこ
だからオラ、「偉人」つうより「異星人」のイメージなんだてば。
このアメリカ行きにあたってはな、
カネが足りねえもんで、血脇守之助先生に借りただ。
ちなみにこの血脇先生、
オラが東京に出てから、
なにかとカネやなんかの面倒見てくれている、
便利な・・・いやいや、面倒見のいい先生なんだっけした。
野口英世
「血脇」先生って、ぶっそうな名前のイメージと違って、
親切な先生ですね。
りょうこ
んだ。
でな、この頃オラの才能にほれて、
姪との結婚を前提にカネを出資してくれるキトクな・・・いやいや、
親切な人がいただ。
野口英世
え?これからアメリカに行こうってのに、
結婚ですか?
りょうこ
アメリカから帰ったら結婚、っつう約束でな。
オラ、ありがたくこのカネを受け取って、
アメリカ行きへの英気を養うために、
パーッと夜の街で使わせてもらっただ。
野口英世
なんで!?
それはアメリカ行きのためのおカネでしょ?
どうして夜の街で使っちゃうの!?
りょうこ
いや・・・なんつーーか、
日本で最後の夜の勉強と思ったら・・・
つい勢いでな。
わっはっは(笑)。
野口英世
「つい勢いでな」じゃないでしょーー!!
りょうこ
まあ、そんなこんなでカネがなくなっちまったんでよ、
「なんとかなんねが?」て、血脇先生にまた相談したんさ。
ほったら血脇先生、
自分が借金してオラのためにカネつくってくれたんさ。
困った時の血脇先生頼み」だっけした。
野口英世
血脇先生にしてみればいい迷惑ですね。
りょうこ
つうことでよ、
オラ、なんとかアメリカさ行ぐことができただ。
ほんでさっそくフレキスナー先生んトコ行って、
蛇の毒についての研究始めたっけした。
したらその成果が認められて、
フレキスナー先生のもとで、
思いっきし勉強さできることになったんさ。
野口英世
よかったじゃないですか。
りょうこ
波に乗ったオラな、
デンマークさ留学させてもらったり、
ロックフェラー研究所(所長はフレキスナー)の
一等助手にしてもらったりして、
その後梅毒スピロヘータの純粋培養に成功するだ。
野口英世
「梅毒スピロヘータ」って何ですか?
りょうこ
う〜ん、それはアンタみたいな子供には説明が難しいっけした。
自分で調べてけろ。
一つヒントを与えると、この梅毒スピロヘータ、
「夜の勉強」さ一所懸命したオラだからこそできた研究だった、
ということだぁ〜ね。
野口英世
ふ〜ん、そうなんですか。
じゃあまあそれはいいとして、
話を続けてください。
りょうこ
んでな、この頃オラ、
アメリカ人のメリー・ダージェスと結婚しただージェス
野口英世
わあ、おめでとうございます。
・・・って、あれ?
野口さん、日本に婚約者がいたんじゃなかったっけ?
たしかその時におカネ出してもらって、
夜の街で使っちゃったんでしたよね。
りょうこ
つまんねことさ覚えてんな。
そんなエピソードさ、むしかえしたら、
オラの「偉人」としての経歴にキズさつくだろがぁ!!
お願い、忘れてけろ。m(__)m
野口英世
「偉人」じゃなくて「異星人」だったんじゃないですか?
まあいいや、話を続けてください。
りょうこ
でな、この頃、福島さ残ってたおかあから、
「一度くらい福島さ帰って来い」っつう手紙がきたっけした。
野口英世
おかあ?
ああ、オオカミさんですね。
りょうこ
オオカミ違う!!
シカ!!
野口英世
ああ、そっか、そっか。
で、そのシカさんの手紙を見てどうしたんですか?
りょうこ
そりゃ母親のシカが「帰って来い」っつうのに、
シカトするわけにいがねべ?
だからオラも忙しいけんど、
スケジュウルを調整して日本に一時帰国しただ。
野口英世
シカさん、喜んだでしょ。
りょうこ
んだ。
喜んで安心したのか、
オラが一時帰国した年の三年後に死んじまっただ
野口英世
そうなんですか・・・・・
りょうこ
でもオラ、そんなんでめげてるわけにいかねえだ。
その頃にはオラ、「黄熱病(おうねつびょう)」の研究始めててな、
この黄熱病をくわしく調べるために、
南米エクアドルに行ってたっけした。
野口英世
お母さんが亡くなっても、
勉強と研究はやめるわけにいかない、
ということですね。
りょうこ
んだんだ。
で、この黄熱病だけんどよ、
研究始めてすぐ病原体が見つかっただ。
「オラって、なんてすげえんだろ」と、こん時は思っただなや。
野口英世
すごいじゃないですか。
さすが千円札になる人は違いますね。
りょうこ
ところがよ、
この病原体発見にケチつける人が出てきたんさぁ。
野口英世
え?そうなんですか。
りょうこ
ケチつけられたら、
オラの研究者としてのプライドが許さんがね。
だから、「もう一度黄熱病の研究しちゃおうねつ病
っつうことで、メキシコやらペルーに飛び回って、
最終的にアフリカのガーナにまで行って研究したガーナ
野口英世
アフリカまで行ったんですか!?
ずいぶん遠くまで行きましたね。
りょうこ
まあな。黄熱病の本場はアフリカだからな。
でもオラ、このアフリカで自分が黄熱病にかかってしまっただ。
早く治療法を見つけないと、自分が死んでしまう、っつうことで、
排水溝の陣に追い込まれたっけした。
野口英世
それを言うなら背水の陣でしょ?
りょうこ
あ、それそれ。
でも結局治療法は見つけられず、
オラ、このアフリカの地で死ぬだ
黄熱病の研究者、黄熱病のために死す、
ちゅう皮肉な結果に終わったっけした。
野口英世
でも野口さんってやっぱすごいですよ。
普通の人はそこまで徹底して研究しませんって。
さすが千円札になる人は違いますね。
りょうこ
ま、オラとしちゃ自分のしたい勉強と研究を、
好きなだけやって死んだだけなんだけんどもよ。
その結果が千円札なら、それはそれでヨシとしようかね。
野口英世
まあこれからは私、千円札を使うたびに、
野口さんのこと思い出すことにしますよ。
千円じゃおしゃれな靴一つも買えませんけど。
りょうこ
だがらオラのお札は、靴以下か、っつーーの!!
ちょっとむなしい・・・・・・
野口英世

ひのもとあや先生の一口寸評

野口英世は、偉人です。エラい人です。
その業績には頭がさがります。
しかし私生活では、けっこうだらしない人でした。
借金まみれだわ、人の好意を無にするわで、
文中に出てくる血脇さんなどはおそらく、
かなり迷惑をこうむったのではないかと思われます。
しかし不思議と野口さんは人にうらまれませんでした。
それは彼が純粋に「細菌学」という学問を追及し、
成果をあげていたからではないでしょうか。
私生活はともかく、
やっぱり野口英世は、偉人です。エラい人です。
まさに新千円札の顔にふさわしい人だと思います。
みなさんも千円札の野口さんの顔を見るたびに、
彼のエラさを思い出してくださいね!

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