ワイロ政治したのって私だけ?そうじゃないだろ・・・田沼意次
| えー私、田沼意次さんの事よく知らなかったので、 ちょっと人名辞典で調べたんです。 ちょっと田沼さんを知らない人のために読み上げますね。 「田沼意次。九代将軍家重、十代将軍家治に仕える。 ものすごい出世したが、その政治はワイロ政治と呼ばれる。 農業より商業を重視し、ロシアとの貿易も考えていたらしい。 松平定信の寛政の改革までを田沼時代という」 ・・・・ざっとこんな経歴ですね。 |
|||||
| りょうこ | |||||
| はっはっは。わしの政治はワイロ政治かい。 ま、そう呼ばれても仕方なかろう。 |
|||||
| 田沼意次 | |||||
| ワイロばっかもらったんですか? ヤダー。悪い人ー。 |
|||||
| りょうこ | |||||
| 何言っとる、それは昭和・平成の時代感覚じゃろ。 わしの生きた江戸時代なんか、 政治にワイロはつきものじゃったんじゃ。 わしの場合だけワイロ政治なんて言われるのは、 ちょっと心外じゃなあ・・・・。 |
|||||
| 田沼意次 | |||||
| えー、江戸時代ってワイロがあたり前だったんですか!? | |||||
| りょうこ | |||||
| そうよ。「袖の下」と言ってな、 自分の言う事を聞いて欲しかったら、 相手の袖の中に、 こっそりとお金をいれなくては何もしてくれない、 そういうものだったんじゃ。 |
|||||
| 田沼意次 | |||||
| へー、そうなんですか・・・・・ それじゃなんで田沼さんだけがワイロ政治、 と呼ばれてるんですか? |
|||||
| りょうこ | |||||
| まあおそらく、 わしの次に活躍する松平定信という男の政治が 「ワイロ政治をやめて、商業より農業をやりましょう!!」 ってのがスローガンだったから、 わしのやっていた政治のうち、特にワイロをもらっていた、 というのが目立って宣伝されてしまったんじゃろうなあ。 でも定信ちゃんも昔、 わしにワイロを贈ったことがあるんじゃがなあ・・・ |
|||||
| 田沼意次 | |||||
| 田沼さんは商業を重視、 松平定信さんは農業を重視した、と言う事ですね。 |
|||||
| りょうこ | |||||
| そうじゃ。 わしの場合、商人に寄付してもらって新しい運河を作ったり、 北海道の道路整備をしたりしたからな。 その寄付も「ワイロ」と呼ばれてしまったんじゃ。 だけどお嬢さん、よく考えて欲しいんじゃがな、 商人の寄付で公共工事をすれば、 幕府は金を払わなくて済むから、 年貢もよけいに取らずに済む。 みんながうまくいくいいやり方なんじゃがなあ・・・・・。 |
|||||
| 田沼意次 | |||||
| それもそうですね。 でも商人は寄付するだけで得はないんじゃないですか? |
|||||
| りょうこ | |||||
| いやいや、商人には金を出させるかわりに、 たとえば商売を自由にさせるとか、 商売へのしめつけをゆるくしたんじゃ。 だからわしの時代には、 江戸時代たびたび出された「倹約令」 というのはほとんどだしとらん。 |
|||||
| 田沼意次 | |||||
| 「倹約令」というのは 「ぜいたくをしちゃいけません!ケチになりなさい!」 っていう命令ですよね。 |
|||||
| りょうこ | |||||
| そうじゃ。 わしの時代、庶民をしめつける事をしなかったから、 庶民は本当はよろこんどったんじゃ。 わしの次の松平定信ちゃんの時代になったら、 「倹約、倹約」で、 庶民はぜいたくが一切禁じられてしもうたからの・・・・ まあ詳しくは定信ちゃんを呼んできいたらいいが、 その定信ちゃんの時代にこんな川柳をよんだ人がいるんじゃ。 「白河の清きに魚も住みかねて、もとの濁りの田沼恋しき」 白河というのは定信ちゃんの事じゃ。 つまり白河(川)はあまりにも水がキレイすぎて、 魚が住もうと思っても住めない。 ・・・・魚はコケとか虫とか微生物がいる、 ちょっとくらい汚れた水でないと死んでしまうからの・・・・ だから、キレイすぎる水より、 田沼・・・沼の水は濁っているけど、 魚が住むのにはいい環境なんじゃ。 ・・・・つまり水が濁っている時代がよかったな・・・・ という意味じゃ。 |
|||||
| 田沼意次 | |||||
| ははあ、 つまり田沼さんは「ワイロ政治」で出世したけど、 そのかわり一般大衆に対してはキビしいしめつけをしなかった、 という事ですね。 |
|||||
| りょうこ | |||||
| ま、そういう事じゃ。 それにわしの時代、北海道にロシアの船がよく来ておったから、 むしろロシアと貿易をして、 国の経済を立て直そうと考えたりもしたんじゃ。 |
|||||
| 田沼意次 | |||||
| へー!!そうなんですか。 つまり「経済立て直し」ですね。 ・・・・で、それはうまくいったんですか? |
|||||
| りょうこ | |||||
| それがな、わしの時代に浅間山が大爆発したり、 天明の大飢饉がおきたり、天災ばっかり起こって、 結局うまくいかなんだんじゃ。 そのうちわしの息子が江戸城中でテロにあって殺されたり、 十代将軍家治様が死んだりして、 わしは権力の座からころがり落ちてしまったのよ。 |
|||||
| 田沼意次 | |||||
| あちゃー。運が悪いですね。 天災は田沼さんのせいじゃないですもんね。 |
|||||
| りょうこ | |||||
| うむ・・・まあ仕方ないわ。 わしは歴史上あまり評価されておらんが、 前に出た 「白河の清きに魚も住みかねて、もとの濁りの田沼恋しき」 と言う落首を作ってくれた人がいる、 という事だけで満足じゃよ。 |
|||||
| 田沼意次 | |||||
| なんか田沼さんって、 インタビューの途中でギャグの一つも言わないから、 くそ面白くも何ともない人だなって思ったけど、 ものすごい運が悪かったり、息子さんを殺されちゃったり、 けっこうヒサンな人生を歩んで苦労してきてる人なんですね。 だから、マジメに私の質問に答えてくれてたんですね。 |
|||||
| りょうこ | |||||
| はっはっは。 「ワイロ政治家」のわしは、けっこう「マジメ人間」なんじゃよ。 くそ面白くなくてスマンな。 |
|||||
| 田沼意次 | |||||
| いえいえ、 たまにはギャグが一つもないインタビューがあってもいいですよ。 「ギャグ考えなくていいから楽だし」。 ・・・・あ、今のセリフ、誰が私に言わせたの? |
|||||
| りょうこ |