日本史・That's雑談
第11回 主題 
リフォーム国家・日本


みなさんは、
リフォーム」という言葉を聞いたことがありますか?
ひのもとあや
ナイスショット!!課長のゴルフスイング、
流れるように美しいでゲスな!!
伊塚光五郎
そりゃ「いいフォーム」!!
「ゲスな」て、タイコもちかいな、アンタ!!
赤字屋サバ
「リフォーム」って、
ビフォーアフターで、
家をカッコよく改造することですよね?
りょうこ
そうですね。
要するに新築するのでなく、
家を改造したり増築したりして、
住みやすくすることを言います。
ひのもとあや
あや先生、
今回はなんでリフォームの話から入ったんでっか?
赤字屋サバ
ワシの家をリフォームしてくれる、
という話ですかな?
伊塚光五郎
んなわけないやろ!!
リフォームが必要なんは、
アンタの頭ん中やがな!!
赤字屋サバ
今回は「リフォーム国家・日本」という主題なので、
リフォームの説明から入ったんですよ。
ひのもとあや
「リフォーム国家」って、どういうことですか?
りょうこ
匠のわざで国家をリフォームする、ってことですな。
伊塚光五郎
アンタ、頼むから黙っといてくれん?・・・・
赤字屋サバ
それでは「リフォーム国家」とはどういうことか、
下の年表を参考に話を進めていきたいと思います。
ひのもとあや

飛鳥時代

奈良時代



平安時代














鎌倉時代
天皇を中心としたはじめての法律(律令)ができる。

律令の基本である公地公民を崩壊させる、
三世一身法と墾田永年私財法追加
でも律令はそのまま

兵部省(軍隊)と刑部省(警察)に役人を置くことを廃止
でも律令の役職はそのまま残す
治安が悪くなったので、都にだけ警察(検非違使)を置く。
しかしこの検非違使は律令にない役職(令外官)

地方には軍隊も警察もいなくなってしまったので、
財産を持っている人は自分の財産は自分で守るようになる。
(→武士の誕生

貴族(主に藤原氏)は、
三世一身法や墾田永年私財法でつくった私有地(荘園)を、
勝手にどんどん増やす。(荘園は律令の権限のおよばない土地)
これによって律令の基本である公地も公民も限りなくゼロに近づく。
でも律令はそのまま

源頼朝が武士政権の鎌倉幕府をひらく。
どうみても権力は天皇家から武士に移ったのだが、
源頼朝は律令の役職である征夷大将軍に就任。
のちに鎌倉幕府は御成敗式目という武士専用の法律をつくるが、
でも律令はそのまま

上の年表を見ていただいたらわかると思うんですが、
飛鳥時代につくられた法律(律令)は、
ずっとそのまま残っている
ことがわかります。
基本の律令はそのままにしておいて、
その時代に合わせて法律を追加、
あるいは暗黙の了解で、
部分的に変えてしまっている
んですね。
ひのもとあや
基本はそのままで、
時代に合わせて追加、変更・・・
あっ!!家のリフォームと一緒だ!!
りょうこ
ホンマやね。
まさに「リフォーム国家」や。
赤字屋サバ
ワシの家は風呂がせまいので、
ぜひ広くリフォームしていただきたい。
伊塚光五郎
「していただきたい」やあれへんがな!!
そんなん自分でし!!
赤字屋サバ
奈良時代には、
律令の基本である、
公地公民(土地も人民も国家のもの)を崩壊させる法律、
三世一身法と墾田永年私財法が追加されますが、
でも律令はそのままです。
つまり律令と矛盾する法律が追加されてしまったんですね。
ひのもとあや
現代で言ったら、
日本国憲法に矛盾する法律が追加された、
ちゅうこっちゃね。
赤字屋サバ
憲法九条に矛盾する「PKO法」とか、
「イラク特措法」みたいなものですか?
りょうこ
りょうこ殿、むずかしい法律を知ってますな。
「PEKOちゃん法」?
伊塚光五郎
PEKOちゃん違う!!
PKO!!
赤字屋サバ
「PKO法」とか、「イラク特措法」に関連して、
少し話を現代に脱線させてしまいますが、
自衛隊という組織は、日本国憲法の九条によれば、
憲法違反の組織、ということになります。
そこで憲法を改正するか、
あるいは自衛隊をなくすか、
どちらかにすればいいようなものですが、
日本政府はそのどちらも選択せず、
「憲法はそのまま。法律を追加する。自衛隊はそのまま」
という、まさに今回の主題である「リフォーム国家・日本」を、
実証してくれるような行動をとっています。
ひのもとあや
だって現実に自衛隊の人たちは、
日本の役にたってくれてるもんね。
だから自衛隊廃止なんてしたら大変なことでしょ。
りょうこ
せやね。
かと言って日本国憲法も改正せえへん。
白黒ハッキリつけずにあいまいにしとくちゅう日本の伝統が、
現代も続いてる、ちゅうことちゃうか?
赤字屋サバ
そういうことですね。
さあ、それでは話を戻しましょう。
現代の日本は憲法も自衛隊もそのままにしましたが、
平安時代の日本は、律令をそのままにして、
なんと軍隊のほうをを廃止してしまったんです。
ひのもとあや
軍隊のほうを廃止しちゃったんですか!?
りょうこ
せやねん。
ま、平安時代は現代と違って、
外国と軍事的なつきあいする必要はなかった
からね。
それに平安時代初期に日本がほぼ統一されてもうたから
(坂上田村麻呂による蝦夷征討)、
桓武天皇が、もう軍隊は必要ない、と思ってもうたねん。
赤字屋サバ
軍隊がなくなって、
まさに「平安」な時代になったわけですな。
伊塚光五郎
校長、たまにはうまいこと言うやんか。
でもな、「平安」時代ちゅうんは名ばかりで、
実はこの時代、軍隊がなくなったおかげで、
「不安」時代になってしもうとんねん。
赤字屋サバ

どういうことですか?
りょうこ
桓武天皇は、軍隊と同時に警察も廃止してしまいました。
するとどうなるか考えてみてください。
犯罪者や反乱者があらわれても、
取締りができなくなってしまったんです。
ひのもとあや
犯罪者が取り締まれない、いうことは、
庶民にとって「不安」な時代になってもうたわけや。
「北斗の拳」ちゅうマンガ、知っとるか?
あのマンガの時代は、軍隊も警察もおらんから、
人々が不安におののいとった、いう設定や。
平安時代(時に中期以降)ちゅうんは、
あのマンガのような時代やった、と思うてくれたらええねん。
赤字屋サバ
「北斗の拳」ほど、
ひどい時代ではなかったと思いますけどね(笑)。
まあ、イメージとしてはあんな時代ですね。
ひのもとあや
私のなかの平安時代のイメージが崩れちゃいました。
りょうこ
ワシも。
まさに秘孔を突かれた思いですな。
伊塚光五郎
アンタは黙っとき!!
赤字屋サバ
こういう不安な時代、
人々は、自分で自分の身を守るようになります。
そのため武器をとり、
身を守るためのわざをみがく人があらわれはじめました。
これがのちに「武士」と呼ばれる人たちです。
ひのもとあや
なるほど・・・武士というのはつまり、
治安が悪いからやむをえず武装した人々、
ということなんですね。
りょうこ
そういうこっちゃ。
赤字屋サバ
ということは、ケンシロウも武士なんですな?
あたたたたたたたたたたたたたたたーーーっ!!
お前はすでに死んでいる・・・
伊塚光五郎
やかましわい!!
赤字屋サバ
「リフォーム国家」のテーマから、
少しはずれてしまったようですね。
話題を戻しましょう。
では次は政権についての話をします。
律令で一番エラい人は天皇ですが、
その下にナントカ大臣とかいて、
征夷大将軍というのもいました。
つまりあくまでも一番エラい人は天皇なんですね。
ところがある時期から、ナントカ大臣に政権が移っても、
征夷大将軍に政権が移っても、
「天皇が一番エラい」という律令の規定はそのままに残す、
という暗黙のルールができていったようなんです。
ひのもとあや
つまり実際天皇に何の権力がなくても、
建て前として「天皇が一番エラい」ことになってまんねや。
赤字屋サバ
これも律令の基本はそのままで、
時代に合わせて追加、変更した・・・・・・
リフォーム、ってことですね。
りょうこ
そうです。
平安時代の摂関政治、鎌倉時代の幕府政治、
すべて政権は交替しているのに、
「天皇が一番エラい」という建て前はそのまま
です。
つまりこの権力のあり方が、
リフォーム国家・日本に、
一番あっている方法だったんじゃないでしょうか。
天皇家がずっと続いている、というのも、
日本がリフォーム国家だったからだ、
と、私は考えています。
ひのもとあや
日本人は昔から「新築」を好まず、
「リフォーム」を好む国だった、ってことでっか?
あや先生。
赤字屋サバ
そう思います。
日本人は「痛みをともなった改革」よりも、
「痛みをともなわないプチリフォーム」が好きなんでしょうね。
おそらく藤原不比等あたりが、
「リフォーム国家」を具体的な形にしたんではないでしょうか。
「古事記」や「日本書紀」なんてのも、
リフォームの正当性を裏付けるためにつくられた本ではないか、
なんてことも考えられます。
ひのもとあや
あの・・・
いきなり難しい内容になって、話が見えないんですけど・・・
りょうこ
ゴメンナサイ。
藤原不比等というのは飛鳥〜奈良時代の人で、
この時代の「影のボス」的存在だった人なんですね。
「古事記」や「日本書紀」は、
この不比等が活躍した時期につくられていて、
「日本はずっと天皇が治める国です(天壌無窮の神勅)」
と書かれている本です。
ひのもとあや
つまり「影のボス」である「藤原」不比等が、
「本当は「藤原」氏より天皇家のほうがエラいんやで、
せやから藤原氏が権力をぶんどったわけやないで」

ちゅうことを言い訳するために、
「古事記」や「日本書紀」をつくらせた、いうことでんな?
赤字屋サバ
それだけが理由じゃないですけど、
私はそう考えています。定説ではありませんが。
ひのもとあや
なんで?
なんでそんな言い訳しなきゃいけないんですか?
りょうこ
そりゃそういう言い訳せな、
「影のボス」でいられんやろ?
藤原氏が「表のボス」になってもうたら、
天皇家を滅亡させて、律令も作り変えなアカン。
そんなことしたら「リフォーム」やのうて、
「新築」になってまうやないけ。
日本人の好みと合わへんがな。
赤字屋サバ
あっ、そうか。
つまり藤原不比等って人は、
日本人のリフォーム好きをよくわかっていたんですね。
りょうこ
藤原不比等にワシの家をリフォームしてもらいたい・・・
伊塚光五郎
しつこいて!!
赤字屋サバ

江戸時代





明治時代


昭和時代

平成
最後の将軍・徳川慶喜が大政奉還し、権力を天皇にかえす。
権力構造が律令の時代に戻り、天皇の政治が復活(王政復古)。
律令はそのままなので、
「革命(政治や制度をまるっきりつくりかえる)」ではなく、
「維新(政治や制度を追加・変更する)」と名付けられる。

ようやく律令を廃止大日本帝国憲法ができる。
でも庶民はあまり変化に気付かず。

敗戦で大日本帝国憲法にかわって日本国憲法ができる。

日本国憲法が時代に合わない部分が出てきたが、
憲法はそのままで憲法に矛盾した法律を追加。

さてそれでは権力者が移り変わって、
律令はどうなっていったかを説明したいと思います。
源頼朝の時、武士に移った権力は、
江戸幕府の時に、
最後の将軍・徳川慶喜によって天皇にかえされます。
そのあと明治政府に権力が移るんですが、
なんとそれでもまだ律令の制度が使われている
んです。
律令が廃止されたのは明治22年、
大日本帝国憲法ができたからですね。
ひのもとあや
リフォーム国家・日本にしてはすごいことですね。
飛鳥時代の昔から長く続いた律令を廃止するなんて。
りょうこ
こん時は日本が世界と付き合いを始めたばっかで、
新しい法律をつくらんと、
よその国にほろぼされてまう、
いう危険性があったんや。
せやからあわてて憲法をつくったねん。
それでも明治維新から22年もたってやっとでけたんやから、
遅かった、言えるわな。
赤字屋サバ
よその国とつきあいを始めたから、
律令を廃止して憲法をつくった
、ということですね?
りょうこ
そうですね。
自分の国の事情だけでつくったわけじゃないんです。
その後、太平洋戦争で負けた時も、
同じく憲法をつくりかえています。
つまり日本は、
外圧(外国からの圧力)があった時だけ、
リフォームでなく新築をしてる
、ということですね。
ひのもとあや
このことは逆に言えばやな、
外圧がないかぎり日本は新築をせん、
リフォームで済ます、
いうこっちゃ。
赤字屋サバ
ワシの家にも外圧がきて新築してほしい・・・
伊塚光五郎
アンタを新築したいわ!!
赤字屋サバ
現代も外圧がないから、
憲法を変えないのかな?
りょうこ
そうかもしれませんね。
でも最近、憲法改正問題が持ち上がっていますよね。
これは日本人が外圧を感じているから、
そういう声があがっているんじゃないでしょうか?
ひのもとあや
イラクやら北朝鮮やら、アメリカやら・・・
ほかにも中国、韓国、ロシア・・・
これらの国々との交流を、
外圧と感じ始めたんかもしれへんな。
赤字屋サバ
でも結局最後は、
憲法のつくりかえはせず、
部分改正(リフォーム)で済ますような気もしますね。
りょうこ
多分そうなるでしょうね。
なんたって日本はずっと昔からリフォーム国家ですから、
そうそう変わるもんじゃないと思います。
ひのもとあや
で?結論として、
ワシの家はいつリフォームしてもらえるんですかな?
伊塚光五郎
だからアンタはリフォームでなく新築したるて!!
アンタの頭ん中をな!!
赤字屋サバ


今回の結論

日本の言葉に「タテマエと本音を使い分ける
というのがあります。
タテマエ上は基本をちゃんと守ってるふりをして、
本音では状況にあわせて基本を守らないことがある、
ということですね。

とても矛盾したことですし、中には「こんなことは許せない」
という人もいるでしょう。

しかし現実にはこういったことをする人はたくさんいます。
なぜたくさんいるのか・・・それは今回語ったように、
日本人は昔からリフォーム好きだからなんですね。
どういうことかというと、
タテマエとしては変えない(新築しない)けれども、
状況にあわせて本音を使い分ける(状況にあわせてリフォームする)、
ことが昔から多かった、ということです。
藤原氏も、平氏も、源氏も、足利氏も、徳川氏も、明治政府も・・・
みんなリフォームでその場をのりきってきました。

ここではそれがいいことか悪いことか、は問いません。
みなさんがそれぞれ結論を出してください。
それでは本日、これまで!

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