戦国鬼嫁日記で功名が辻
〜山内一豊〜


今日のゲストは聞いたことない人です。
山内一豊さん!
りょうこ
え?聞いたことない?
ボク、よく竹之内豊と間違えられて、
困ってるんだけど。
山内一豊
そりゃ字は微妙に似てるけど・・・
顔はねぇ・・・
りょうこ
顔だって似てない?
ホラ、目が二つあって鼻が一つで口があって・・・
山内一豊
くだらないボケかましてんじゃないよっ!!
千代
え?あなたは誰ですか?
りょうこ
この山内一豊の千代様だぁ!!
千代
ただのじゃないよ、今流行りの鬼嫁なんだから。
山内一豊
何か言ったかぁ!?
千代
いえ、何も・・・
山内一豊
じゃあさっそく教えてください。
一豊さんって生まれは?
りょうこ
尾張の国。
山内一豊
生まれた時から人生もう終わり(尾張)、みたいな。
がははははっ!!
千代
ひどい・・・まさに鬼嫁・・・・・・
山内一豊
どんな子供時代を過ごしたんですか?
りょうこ
13歳の時に父と兄が死んで、
いろんな殿様のところを渡り歩いたのね。
山内一豊
アタイもおんなじような子供時代を過ごしてさ、
あちこち放浪してたんよ。
千代
あっ、二人とも似たような境遇だったんですね。
で、似たもの同士愛し合って結婚したわけですか?
りょうこ
「愛し合う」って何?
山内一豊
「愛し合う」ってのは、
アンタがアタイの言うことを、
何でもハイハイと聞くことでしょ?
千代
え?そうなの?
山内一豊
いや、違うと思いますけど・・・
それより、二人の新婚生活はどんなもんだったんですか?
幸せだったんですか?
りょうこ
「幸せ」って何?
山内一豊
「幸せ」ってのは、
アタイにいろいろ命令してもらえることでしょ?
千代
う〜ん、そうだろうか・・・?
山内一豊
まあ、幸せの形は人それぞれですからね。
で?
いったいいつ頃から一豊さんの活躍が始まるんですか?
りょうこ
活躍ってほどじゃないけど、
アタシと結婚した頃からかな?
その頃このダンナは木下藤吉郎(のちの豊臣秀吉)の軍にいて、
三段崎勘右衛門 (みたざき かんえもん)っていう、
強い武将をやっつけたんさね。
千代
三段崎(みたざき)の首、いただき!!
ってね。
山内一豊
うるさい!!
今アタシが話してるんだから、静かにしてなさい!!
千代
はい・・・・・・
山内一豊
この手柄をたてられたのも、
アタシがあげまんだったからさ。
千代
この手柄で一豊さんは出世したんですか?
りょうこ
そう。
これで初めて四百石をもらえる武将に出世したのね。
でもね、この戦いで出世したのはいいけど、
ボク、弓矢があごを貫通するという大ケガをおったの。
山内一豊
アタイはこの弓矢を、
「幸運のキューピットの弓矢だ」と思ったね。
千代
ひ、ひどい・・・人がこんな大ケガしたのに・・・
山内一豊
なんともコメントしようがありませんね(苦笑)。
その後、一豊さんはどんどん出世するんですか?
りょうこ
それがさあこのダンナ、パッとしないのよ。
戦いにはいっぱい参加してるのに、
イマイチ手柄がたてられない・・・
千代
でも子づくりにははげんだよ。
よね」という子供をさずかったじゃない。
山内一豊
アンタはそんなことしかはげめないのかい!?
それに子供がさずかったのは、
ほとんど女のアタシの手柄でしょ!?そうでしょ!?
千代
そりゃそうかもしれないけど・・・
山内一豊
まあまあ、それでも子供ができてよかったじゃないですか。
「おヨネさん」でしたっけ?
りょうこ
そんなバアちゃんっぽい名前で呼ばないでよ!!
「よねタン」!!って呼んで!!
山内一豊
クレオパトラか小野小町か千代と言われたアタイに似て、
ものすごい美人で可愛い女の子だったんだ。
でも六歳の時に地震でつぶれた建物の下敷きになって、
死んじゃったのさ・・・
千代
あら、可愛そうに・・・
りょうこ
どうせならこの能無し亭主が死んでくれればよかったのに・・・
千代
そ、それはひどい・・・
山内一豊
ところで一豊さんっていえば、
いい馬を奥さんに買ってもらって出世した
って話が有名だけど、
それってこの頃の話じゃないんですか?
りょうこ
そうそう。
この頃、安土の城下町に馬売りが来ててね、
すんごいいい馬が売りに出てたのね。
で、欲しかったんだけど10両もするのよ、これが。
でもお金ないから、「あーーっ!!この馬欲しいなーーー」
って指くわえて見てたの。
山内一豊
馬買うなら馬券にしときなさいって言ったのに、
「どうしてもあのいい馬が欲しい」って、ダダこねるのね、
この人。
だからしょうがないから、アタシがへそくってた10両を、
バ〜ンと出して馬を買ってあげることにした
のよ。
千代
いつもは鬼夜叉和田アキ子に見えるお前の顔が、
あん時だけは矢田亜希子に見えたよ。
山内一豊
気前がいいですね、千代さん。
りょうこ
なに、このダンナのためにヘソクリを出したわけじゃないよ。
出世させるために必要だと思ったから馬を買ってやったんだよ。
おかげで私の読みが当たって、
この馬が織田信長様の目にとまり、
「こんないい馬を持っているのなら出世させてやらねば」
ということで、プラス二百石の出世をしたのさ。
千代
え?そんなウラがあったのか・・・
山内一豊
まあでもウラがあろうとなかろうと、
欲しかった馬が手に入ったからよかったじゃないですか。
じゃあ、その後もどんどん出世していくわけですね。
りょうこ
どんどん出世というより、
こつこつ昇級って感じだけど、
その後近江の長浜というところで、
二万石の城主にまでなった
のさ。
千代
わあ、やりましたね。
ついに一国一城の主ですか。
りょうこ
あ〜、ついにボクもここまできたか、
って感じだよね。
山内一豊
同期の武将はもっと出世してるからね、
ホントはもっと上を目指してほしいんだけど、
ま、このダンナじゃあ、ここまでが限界かなって。
千代
充分でしょ。
城主にまでなれれば。
りょうこ
なんかアタイもこれで気が抜けちゃってね〜。
これからの人生は趣味に生きることにしたのさ。
千代
ああ、それはいいことですね。
一豊さんも何か趣味を始めたんですか?
りょうこ
うん、ボクも好きなでもやろうかなと思ったんだけど・・・
山内一豊
なんて、そんな余裕があるわけないでしょっ!!
アンタが馬車になって、
身を粉にして、心をすりつぶして、
血ヘドはいて倒れても働いてもらわなくちゃッ!!
甘えてんじゃないよッ!!!!
千代
そ、そこまでしなくちゃですか・・・?
山内一豊
まあまあ、それより、
千代さんの始めた趣味って何ですか?
りょうこ
さまざまなキレイな布キレを縫い合わせて、
小袖(上着のようなもの)をつくること
さ。
キレイなアタイにピッタリな趣味だろ?
千代
自分でよう言うわ・・・
山内一豊
何か言った!?
千代
いえ、別に・・・
山内一豊
小袖をつくって自分で着たんですか?
りょうこ
いやいや、ほとんど人にあげてしまってたのさ。
そしたらアタイのキレイな小袖のウワサが、
朝廷とか豊臣秀吉様とかの耳にはいって、
なんか有名になっちゃったらしいんだな、これが。
千代
すごいですね。
りょうこ
で、アタイのつくった小袖のようなきれいな模様の紙のことを、
千代紙」って言うようになったって・・・
千代
へぇ〜〜〜!!
そうなんだ!!
りょうこ
それはボクも知らなかったなぁ。
で、千代のその後の人生はどうなっていくの?
山内一豊
ちょ、ちょっと、
今回は一豊さんがメインゲストなんですよ。
一豊さんの話に戻してくださいよ。
りょうこ
あっ、そうだったっけ?
ボクがメインだったの?
山内一豊
そうですよ。
じゃあ話を元に戻しますけど、
一豊さんは近江の長浜で二万石の城主になって、
それで人生終わったんですか?
りょうこ
それがね、思いがけず豊臣秀吉様が、
遠州掛川ってとこで五万石の大名に出世させてくれたのね。
これにはボクもビックリ。
山内一豊
え?突然どうしてでしょうね?
何か手柄をたてたんですか?
りょうこ
やっぱボクの日頃の行ないがよかったからかな。
エヘン、エヘン。
山内一豊
んなわけないでしょ!?
それくらいの理由もわからないから、
アンタは出世が遅いのよ!!
千代
千代さんにはその理由がわかるんですか?
りょうこ
当たり前じゃない。
遠州掛川っていえば、
徳川家康様が江戸から大坂城にやって来る時の通り道。
つまり家康様と秀吉様がもし戦ったら、
戦場になるであろう重要な所なのよ!!
「いざ戦争になったら、真っ先に家康と戦って死んでくれ」
って意味で、
秀吉様はウチのダンナを出世させて掛川に送り出した
のよ。
千代
え〜〜〜!?そうだったの!?
それはビックリ!!

そんなキケンなところ、早く引っ越さなくちゃ・・・
山内一豊
あんぽんた〜ん!!
せっかく掛川五万石の大名になったのに、
引っ越すバカがどこにいる!?
千代
だってホラ、
グランドステージ掛川城姉歯建築士の設計だし、
ヒューザーから買ったもんだし・・・・・・
だから早く引っ越さなくちゃ・・・
山内一豊
何、わけのわからん言い訳してるのッ!?
絶対、引越しはしませんからねッ!!
千代
でも実際に戦場にならなければ、
掛川に住んでいても問題ないわけですよね。
どうだったんですか?
りょうこ
それがね、
ボクを掛川の大名にしてくれた豊臣秀吉様が死んでしまって
ホントに戦争が起きてしまう危険性が高まってきたのよ。
山内一豊
わ〜、大変!!
りょうこ
でね、石田三成っていう秀吉様のケライが、
無理矢理、家康様と戦争を起こす準備を始めたのね。
まったく余計なことを・・・
山内一豊
石田三成にしてみれば、
家康様が豊臣家をつぶそうとしてると思ったらしいんだな。
で、つぶされる前に家康様をやっつけようと計画した・・・
千代
で、その計画が発覚したのがちょうど、
ボクが家康様について栃木のほうに行っている時だったのね。
で家康様はボクたちにこう言ったんだ。
「私(家康)はこれから石田三成と戦いに行くけど、
三成につく人は今すぐ帰ってもいいよ。
でも帰った人は私(家康)の敵だから。
全力で踏み潰すから」
ってね。
山内一豊
こんな言い方されたら、
ウチのダンナみたいな小心者はビビっちゃうじゃない。
なんたって家康様の敵になったら、
掛川五万石なんてアッと言う間に踏み潰されちゃうもの。
千代
そりゃそうですね。
りょうこ
でもね、家康様にそう言われた時のウチのダンナのセリフ、
結婚して初めて感心できるセリフだったのよ。
小心者にしてはよくこんなこと言えたな、ってくらいに。
千代
そりゃホメてるのかけなしてるのか、
どっちだい!?
山内一豊
どんなセリフだったんですか?
りょうこ
あのね、こう言ったのよ。
「私、山内一豊は、家康様に全面的に味方します。
家康様が石田三成を退治に行くのに掛川は通り道ですから、
私の持っている武器やケライ、みんな家康様に差し上げます。
家族も人質に差し出します。
他の武将たちもみんな当然そうするでしょ?」

ってね。
山内一豊
うわ!!
いやらしいくらい全面的に家康さんにコビてますね。
りょうこ
でもこのセリフのおかげで、
家康様はウチのダンナのことを認めてくれたんだから。
ホントにこのセリフだけは、よく言えたなって感心したわ。
千代
いやいや、なにしろ差し出す人質というのは、
お前(千代)のことだから、
ボクも全然ためらわなかったよ。

はっはっはっ。
山内一豊
なんだって!?
千代
まあまあ。
で、家康さんと一豊さんはその後どうなっていくんですか?
りょうこ
家康様はその後三成と戦って勝ち(関が原の戦い)、
ボクは特に戦場の手柄はなかったけど、
このセリフのおかげで掛川五万石から、
土佐二十四万石の大大名に出世した
んだ。
山内一豊
すごい出世じゃないですか。
りょうこ
まったくねえ・・・
セリフ一つでここまで出世できるなんて・・・
千代
土佐に引っ越してその後はどうなりましたか?
りょうこ
土佐にはワシの前に、
長宗我部(ちょうそかべ)ってのが治めてたんだけど、
この残党どもが新参者のボクになつかないのよ。
だからちょっと苦労したんだけど、
なんたって二十四万石だから気分はサイコーよ。
山内一豊
ウチのダンナはなにしろ小心者だから、
「長宗我部の残党が怖い」
とか言って、城に近づけなかったのね。
そこで山内家のケライは上士して城づとめ、
長宗我部の残党は郷士として百姓仕事という、
土佐独特の身分差別ができてしまったんだわ。
この身分差別は幕末まで続くんだけど、
それはのちのお話。
アタイたちはその頃には死んじゃってるからね。
千代
お二人が亡くなったのはいつですか?
りょうこ
ボクが死んだのが土佐に引っ越して4年後、
千代が死んだのはボクが死んでから12年後だね。
まったく早く死んで欲しい人ほど長生きするって言うけど・・・
山内一豊
なんだって!?
アタイはアンタが死んだあと、
イヤだけど髪をおろして出家したんだよ。
感謝せんかい!!
千代
感謝ったって・・・その時ボク、死んでるモン。
山内一豊
イヤだけどアンタが迷わず成仏するように、
写経(お経をいっぱい紙に書くこと)もしたのさ。
だから書きすぎて腱鞘炎(けんしょうえん)になっちまった。
千代
ボク死んでるのに、
そんな恩着せがましいこと言われても・・・
山内一豊
腱鞘炎(けんしょうえん)になったから、
アタイの法号(出家後の名前)は・・・
見性院(けんしょういん)だ!!
千代
オチがついたので今回の鬼嫁日記(笑)はこれまで!!
りょうこ

ひのもとあや先生の一口寸評

山内一豊は、戦場においては特にたいした手柄はありませんでしたが、
妻の千代の内助の功で、こつこつと昇級していきました。
このまま終わっていればおそらく、
大河ドラマの主人公になることはなかったと思われます。

しかし栃木における関が原の戦いの前フリ会議(小山評定)で、
徳川家康を喜ばせるセリフを言ったというただそれだけの手柄で、
土佐二十四万石を勝ち取りました


運がいいといえばそれまでですが、
ともあれ山内一豊は土佐という大きい国の殿様になり、
いきなりたくさんのケライをやとわなければならなくなったのです。

普通、新規に召抱えるケライは、その土地のサムライを雇います。
しかし小心者の山内一豊は、
気心知れた自分の故郷の人間をいっぱい土佐に連れてきて、
ケライにしました。

当然土佐にいたサムライ(長宗我部の残党)は雇ってもらえず、
その多くが郷士という百姓同然の身分に落とされました。

その郷士という身分から、
幕末になって坂本龍馬や中岡慎太郎といった、
倒幕の志士がたくさん出ました。
郷士にとって、よそ者の山内家イコール幕府ですから、
郷士が幕府を倒そうと考えたのは当然の流れなのです。

平成18年度のNHK大河ドラマは山内一豊と千代のお話。
こんなドラマ性の少ない主人公でドラマがつくれるのかな?
と、ちょっと不安ですが、
私はNHKの人間ではないのでそんな余計な心配はやめておきます。
見所があるとしたら、特にカッコよくもない山内一豊という小心者を、
いかにドラマチックにカッコよくみせているか、という点でしょう(笑)。
NHKさん、期待してますよ!!

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